〇〇から3日、〇〇から1か月などの期間計算を行おうとする際、判断に悩むことになるものの一つが「満了日」です。
日常生活において、あまり考えることはないかもしれませんが、民法においては、一定のルールが設けられています。
そこで、以下簡単に民法が定める「満了日」に関するルールを紹介します。
期間の満了とは
たとえば、「1月31日までの間に代金を支払わなければならない」、というときの1月31日がこれに該当します。
民法上のルール
この期間の満了について、民法は一定のルールを定めています。
以下、「満了日における満了時刻」、「満了日が休日の場合」、「週、月又は年によって期間を定めた場合の期間計算」(暦に従う)に関するルールを見ていきます。
満了日における満了時刻
民法第141条を見てみましょう。
前条の場合には、期間は、その末日の終了をもって満了する。
この規定は、期間を日にちや週・月、年で定めた場合において、期限を満了するのは「どの
時点か」を定めた規定です。
たとえば、1月1日を起算日として7日間という期限を定めた場合、1月7日の24時到来をもって、期限が満了することになります。
満了日が休日の場合
民法第142条を見てみましょう。
期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日その他の休日に当たるときは、その日に取引をしない慣習がある場合に限り、期間は、その翌日に満了する。
期間の末日が日曜日や国民の休日の場合、通常は、その翌日が満了日となります。
たとえば1月1日から起算して10日という場合に、1月10日が日曜日であれば、期間は1月11日に満了します。
この場合の満了時刻は前述の第141条に基づき、1月11日の24時となります。
なお、期間の末日が土曜日の場合については明示されていませんが、「その他の休日に当たるとき」に該当するという解釈が有力です。
この解釈に従えば1月10日が土曜日であれば、その翌々日たる1月12日に期間が満了することになります。
民法142条には、「その日に取引をしない慣習がある場合に限り」との文言があります。
休日などに取引をしない慣習がある場合に限って、期間満了を1日繰り越すとの規定です。
もっとも、今日においては、日曜日や休日は取引をしないこと(銀行が休み)が通例となっています。
そのため、地方などにて特別な慣習がある場合をのぞき、日曜日や休日に当たる以上は、その日に取引をしない慣習があると考えてよいものと思われます。
暦による期間の計算
月又は年によって期間を定めた場合において、応当日が無いときは、月末が満了日となります。
民法第143条を見ておきましょう。
1 週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。
2 週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する
たとえば、1月1日から起算して1か月(初日を参入して1か月)という場合、カレンダー上の2月の応当日は2月1日です。
民法143条2項本文に従えば、その前日が満了日となりますので、1月31日が満了日となります。
では1月31日から起算して1か月という場合はどうでしょうか。
まず、2月には1月31日に応答する日付(31日)がありません。このような場合には143条2項但し書が機能します。
同但し書きによれば、その月の末日が満了日となりますので、2月末日たる28日(うるう年でない年)が満了日となります。
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期間計算において満了日とともに重要になる概念が起算日です。
とくに初日を参入するのか否かなどの点が重要な問題となります。
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民法は、期間計算の初日を不算入とする原則を採用しています。
民法140条です。次の記事で解説しています。