担保とは?日常用語・法律用語としての意味を確認します。

今日のテーマは「担保」についてです。

この用語は、銀行における融資の場面や債権回収の場面などでもしばしば登場します。

また、民法についていえば、この用語は、主として物権法にて出てくる用語ですが、債権法でも、人的担保という用語で使用されます。

以下、この「担保」という用語について、日常用語としての使用例も含めて、みていきましょう。

担保の日常用語としての意味

最初に日常用語としての意味を見ていきましょう。

用語の意味

日常用語として「担保」という言葉は、①将来生じうる不利益・損失を補填する仕組み、手段という意味合いで使用されます。

たとえば、ある結果につき「担保がほしい」などという場合、それは、その結果を確実に生じさせるような仕組み・手段がほしいといった意味になります。

また、この用語には、②「希望する結果発生の確実性を高める手段・仕組み」という意味合いもあります。

その他、たとえば上司が「トレーサビリティの担保が必要だ」などというときは、「後で追跡可能としうる措置が必要だといったような意味合いになります。

この用語には、①不利益な結果を回避するため又は②希望する結果実現の確実性を高める手段・仕組みという意味合いがあるわけです。

「担保する」の意味

「担保」という用語は本来、上記のように「担保がほしい」というように名詞としての使用が一般的でした。

もっとも、この用語は、「担保する」というような形で動詞として使用されることもあります。

たとえば、「この仕組みが妥当性を担保している」などというような表現がなされます。

その意味は、「妥当な結論を確実に導けるような仕組みがとられている」というような意味合いとなります。

担保とは

次に、法律上の意味における「担保」について見ていきましょう。

担保とは、ある債権が弁済されない場合に備えて、債権者に供される財産・価値・利益のことを指します。

これは大きく物的担保と人的担保に分かれます。

物的担保とは

物的担保というのは、債権の引き当てとして、事前に債権者に供される財産ないし価値のことを指します。

借金などが債権者に対して返済されない場合、原則論として、物的担保を有する債権者は、その対象物からほかの債権者に先立って優先回収を図ることができます。

住宅ローンと抵当権

物的担保の具体例として、住宅ローンについて見てみましょう。

住宅ローンに設定される担保の代表格が抵当権です。、俗っぽい言い方ですが、「家を抵当に入れる」などという表現をすることもありますよね。

住宅ローンを組む場合、通常、銀行は、住宅ローンの回収のために、不動産に抵当権を設定するよう要求してきます。

お金を借りる側、つまり債務者側がこれを飲まないと、通常、住宅ローンは組めません。

そして、抵当権が設定されると、銀行は、住宅ローンが約束通り返済されない場合、対象となる不動産を競売にかけるなどして、これを処分し、その売買代金から優先的に住宅ローンの回収を図ることができます。

そのため、住宅ローンについては、対象となる不動産上の価値が債権の引き当てとして、債権者に供されている、といえます。

質屋と質権

また、質屋は、顧客の物を預かったお金を融資していますが、その融資に対する弁済がなされない場合、目的物を処分・換価することが可能です。

要は、お金を返せないと質屋に質物を取られちゃうんですね。

この場面においては、質物が、質屋の融資に関する物的担保となっています。これを質権といいます。

物的担保の種類

民法が定める物的担保には、上記の抵当権、質権のほか、留置権や先取特権があります。

前二者は当事者の合意によって設定されるので、約定担保ともいわれます。後二者は、所定の要件のもと、法律上自動的に発生する権利です。法定担保ともいわれます。

この4つの物的担保を合わせて、典型担保ということもあります。

また、民法が定める担保以外にも、慣習的に認められた物的担保があります。

譲渡担保や所有権留保などがその例です。

たとえば、所有権留保は、自動車ローンを組んで車を買う場合などに用いられています。

人的担保とは

人的担保というのは、保証のことを指します。

上記の物的担保はある財産ないし財産上の利益が債権者の債権回収の引き当てになるのに対して、人的担保というのは、債務者以外の第三者が、当該債権に対する弁済を約することによって、債権者の債権回収の確実性を高めるものです。

単純な保証のほか、連帯保証も人的担保に当たります。

たとえば、高額な住宅ローンを組む場合、金融機関から、配偶者に連帯保証人となってほしいなどと要請されることがあります。

それは、借主本人が支払いを怠るような場合や支払えないような場合に備えて、配偶者に対して債務の弁済を求めることができる権利(利益)を銀行に付与するものといえます。

また、中小企業が事業資金などの借り入れを起こす際、金融機関はしばしば代表者(社長)を連帯保証人とすることを求めてきますが、これも金融機関が人的担保を求める場面の一つといえます。

小結(まとめ)

担保という言葉は、日常用語として、①不利益な結果を回避するための手段・仕組み又は②希望する結果実現の確実性を高める手段・仕組み、といった意味合いがあると述べました。

上記にいう①及び②の「結果」を債権回収に置き換えれば理解できます。

つまり、法律上の担保は①債権回収ができないという不利益を回避するため、あるいは②債権回収という結果実現の可能性を高めるための手段・仕組みとして利用されているわけです。

このように考えれば、担保という用語は、日常用語・法律用語ともに共通のニュアンス・意味合いをもつものとして理解することができます。