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自然人とは?

今回は、私権の享有主体としての「自然人」についてです。

あまり基本書などで詳しく解説されることのないテーマですが、民法だけでなく、刑法や商法等でも登場します。

どの法律でも基本となる概念の一つですので、その基本となる民法上の概念を一通り押さえておきましょう。

ちなみに、自然人の読み方は「しぜんじん」です。

自然人とは~定義~

自然人とは、日常用語としては、文化や法律に捉われない、ありのままの人を指します。また、法律用語としては、自然人とは、単に「生きている人間」を指します。

そして、自然人であるということの法律上の意味は、その人が「権利能力」を有するという点にあります。

胎児、未成年者、男性、女性、国籍や社会人か否か等を問わず、生きている人間であれば自然人です。また、行為能力を制限された成年被後見人なども当然、自然人です。

そして、自然人は、後述の権利能力を有します。

一言で言いましたが、これは長い歴史を持つ奴隷制度を排除する極めて重要な法理です。

長い歴史の過程で、基本的人権とともに、権利能力(権利主体性)すら与えられなかった方々が多々いたことを慮れば、自然人の概念は、ルソーやロックなどの思想を通して、近代法が勝ち得た貴い概念と言えます。

民法第3条1項を見てください。

民法第3条第1項
「私権の享有は出生に始まる」

これだけの短い規定ですが、人が私権を享有するに、「出生」以外に、何らの制限・条件も付されていない。ここに重みが感じられます。民法の規定で一番格好いいのではないでしょうか。

自然人は、生きているだけで、権利義務の主体となれる。

年齢や人種、国籍を問わず、人は生きているだけで、権利義務の主体となれる。

大上段に構えて自然人概念を述べましたが、もう少し、敷衍すると「自然人が権利能力を有する」との意味は、人間は、人間であるというだけで、権利義務の主体となれる地位を有する、という意味です。

契約主体や財産の名義人になれる

身近な例で考えれば、自然人は、契約書の名義人になれます。不動産売買の契約書の主体となり得ますし、労働契約の主体ともなり得ます。

もちろん契約に限った話ではありませんが、各人が、生きている人間であるというだけで、権利・義務の主体となれる能力を有する、ということが「自然人は権利能力を有する」との意味です。

生きている人間であれば権利能力の主体となれるので、当該人物が「意思」を持っているか否かや「意思能力」をもっているか否かはここでは関係がありません。

年齢・人種・国籍も問わない

また、要件は自然人であることだけです。

意思能力をもたないとされる0歳児であっても、生きている人間である以上、権利能力を持ちます。人種や国籍も関係ありません。

たとえば、金融についてみれば、あかちゃんであっても、銀行の預金口座などの名義人になることは可能ですよね。

父母などの代理人に実際の預金口座の開設を行ってもらうことになりますが、この場合でも、口座の主体はあくまで、そのあかちゃん、ということになります。

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自然人と法人

自然人と対置される概念に「法人」があります。

法人というのは、自然人以外に、権利能力を与えられた団体を指します。会社や一般社団法人がその例です。

なお、紛らわしいのは、法人の機関には自然人がいるということ。会社の代表取締役や社団法人の代表理事等は「生きている人間」ですので自然人です。

また、会社と同じく、営利企業を営む個人事業主の方もいらっしゃいますが、個人事業主は、単に人間が事業を営んでいる、というだけですので、当然、「自然人」ということになります。

自然人と法人との権利能力の違い・比較

自然人と法人とは権利能力に違いがあります。

自然人は、上記の通り、出生により権利能力を取得し、その権利能力に限定はありません。

これに対し、法人の権利能力は、その性質や法令又は当該法人の「目的」により制限されます。

これは、ある法人の「目的」によっては、当該法人が、一定の契約等の主体にすらなりえないことがあるということを意味します。

自然人の権利能力にはこうした制限はありません。

法人の権利能力について定めた旧民法34条(現行法では民法上の条文は削除されていますが、権利能力が法人の目的の範囲内に限られるという解釈は各法律適用の場面で維持されます)と上記民法第1条の3を比較してみてください。

対比してわかる、この民法第1条の3のカッコよさたるや。

<旧民法第43条>
法人は、法令の規定に従い、定款又は寄附行為で定められた目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う。<民法第1条の3>
「私権の享有は出生に始まる」

法律上の制度としての自然人・法人の別

また、自然人と法人とでは、法律の制度で、取り扱いを異にすることがあります。

法律上、ある職務には自然人しかなれない、などと規定・解釈され、法律上、自然人と法人とが明確に区別されるわけです。

たとえば、会社法上の「取締役」は自然人であることが前提となります。

会社法第331条
次に掲げる者は、取締役となることができない。
1 法人

上記は、法人がある地位に就くことを禁止するものですが、反対に、法人もある地位・役職に就ける、ということを法律が明らかにしている場合もあります。

たとえば、成年後見制度における成年後見人等については、法人も就任できる旨、条文で明らかにされています。

民法843条4項(一部略)
成年後見人を選任するには、・・・(成年後見人となる者が法人であるときは、その事業の種類及び内容並びにその法人及びその代表者と成年被後見人との利害関係の有無)、成年被後見人の意見その他一切の事情を考慮しなければならない。

以上、本記事では自然人について解説してきましたが、自然人と対置される法人とは、権利能力の範囲に差があるほか、制度によって区別されている場合があるという点も併せて押さえておきましょう。

なお、法人については次の記事でかなり詳しめに解説しています。ぜひご参照ください。

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