衚芋代理ずは 

今回のテヌマは衚芋代理に぀いおです。

民法の代理制床における重芁テヌマのひず぀であり、どういった堎合に衚芋代理が認められるのかが、しばしば問題ずなりたす。

衚芋代理の各論に぀いおの詳现は、別ペヌゞにゆだねるずしお、今回は、衚芋代理の抂念・基瀎知識、暩利倖芳法理本質ずなる背景理論ずの関係等を抌さえおおきたしょう。

衚芋代理ずは

衚芋代理ずは、無暩代理行為に぀き、あたかも有効な代理暩が存圚するかのような倖芳が存する堎合に、代理行為その倖芳を信じた盞手方を保護するために、圓該無暩代理行為の法埋効果ず同等の責任を本人に垰属させる制床をいいたす。

この衚芋代理は、民法䞊、぀の皮類に区分されたす。

䞀぀は、民法条が芏定する代理暩授䞎の衚瀺による衚芋代理、二぀目は、暩限倖の行為の衚芋代理、䞉぀目は、代理暩消滅埌の衚芋代理です。

衚芋代理の効果

いずれの堎合も、効果は同じです。無暩代理ずしおなされた法埋行為の効果ず同等の責任が本人に課せられるこずになりたす

法埋論ずしお誀解しやすいずころですが、衚芋代理が成立する堎合に、無暩代理行為が有暩代理行為になる、ずいうわけではありたせん。

埌述する条文の芏定もご確認いただきたいのですが、条文は、無暩代理ずしおなされた契玄が有効に本人に垰属するず定めおいるわけではなく、法埋䞊の効果ずしお、無暩代理行為に぀き、本人が「責任を負う」ず定めおいるにずどたりたす。

なお、有暩代理にいう「代理」に぀いおは、次のペヌゞにお解説しおいたす。

関連蚘事代理ずは実生掻・実務ず結び付けお解説したす。
代理に぀いお、代理の基本的な芁件効果、実務的芳点から芋た顕名の方法などを解説した蚘事です。代理の本質論も含め、䞀床ご参照いただければ幞いです。

衚芋代理の具䜓䟋

抜象的でわかりにくいかもしれたせんので、すこし具䜓䟋でみおみたしょう。

たずえば、が実際に代理暩を有しおいないにもかかわらず、の無暩代理人ずしお、所有の䞍動産をに売华しおしたったずしたしょう。

この堎合、圓該売华は原則ずしお無効ですが、衚芋代理が成立するず、圓該売华は有効なものず扱われ、は、に䞍動産の所有暩を移転しなければならなくなりたす。

衚芋代理により、が行った売华の法埋䞊の効果䞍動産の匕き枡しず同等の責任をは負わなければならなくなるわけです。

衚芋代理制床における盞手方保護無暩代理ずの関係

衚芋代理は無暩代理行為がなされた堎合に問題ずなりたす。そしお、民法は、無暩代理人の責任に぀いお䞀定の手圓民法条を眮いおいたす。

第条 無暩代理人の責任
第項
他人の代理人ずしお契玄をした者は、自己の代理暩を蚌明したずき、又は本人の远認を埗たずきを陀き、盞手方の遞択に埓い、盞手方に察しお履行又は損害賠償の責任を負う。
第項
前項の芏定は、次に掲げる堎合には、適甚しない。
䞀 他人の代理人ずしお契玄をした者が代理暩を有しないこずを盞手方が知っおいたずき。
二 他人の代理人ずしお契玄をした者が代理暩を有しないこずを盞手方が過倱によっお知らなかったずき。ただし、他人の代理人ずしお契玄をした者が自己に代理暩がないこずを知っおいたずきは、この限りでない。
䞉 他人の代理人ずしお契玄をした者が行為胜力の制限を受けおいたずき。

無暩代理人の責任

䞊蚘民法条によれば、無暩代理行為がなされた堎合、盞手方は、原則ずしお無暩代理人に察しお、無暩代理人の責任を問うこずができたす民法条。

無暩代理人の責任は、履行責任契玄䞊の矩務を無暩代理人が履行する責任たたは損害賠償責任です

ここでいう損害賠償責任には、履行利益契玄が履行されたずすれば盞手方が埗られた利益の逞倱にかかる損害の賠償が含たれたす

この無暩代理人の責任は無過倱責任ずされおおり、無暩代理人は自らに過倱がなかったこずを理由に免責を埗るこずができたせん。

関連蚘事無暩代理ずは民法条条たで詳しく解説
無暩代理人の責任に぀いおは、圓該関連蚘事で解説しおいたす。無暩代理人の責任に関する基本的な知識に加え、無暩代理行為を䞀郚远認するこずの可吊等、あたり教科曞で觊れられおいない論点に぀いおも解説しおいたす。ぜひ䞀床ご参照ください。

このように、民法は、無暩代理行為に぀き、盞手方保護のため、無暩代理人に重い責任を課しおいたす。

このような重い責任に加えお、民法が衚芋代理の制床を蚭けたのはなぜでしょうか。

無暩代理人の責任を問うのが珟実的でない。

その倧きな理由の䞀぀は、そもそも無暩代理人の責任を問うのが珟実的でないこずが倚々あるからです。

具䜓的に想像しおみたしょう。䞊蚘においおは、が実際に代理暩を有しおいないにもかかわらず、の無暩代理人ずしお、所有の䞍動産をに売华しおしたった、ずいうケヌスを想定しおみたした。

この堎合においお、盞手方たるの保護が切実に問題ずなるのは、が売買代金等を代理人ずしおふるたったに支払っおしたっおいるケヌスです。

このような堎合においお、に察する無暩代理人の責任は珟実に奏功するでしょうか。

党おがそうだずは蚀いたせんが、そもそも、無暩代理行為ずいう犯眪めいた行為がなされるのはそこには、刑法兞に蚀う停造・詐欺等が倚くの堎合絡みうる、無暩代理人が盞圓切矜詰たっおいる堎合です。

端的に蚀えば、無暩代理人はお金に困っおいる、無資力である、だから、切矜詰たっお無暩代理たでやっおしたっおいる、ずいうこずが少なくないのです。

こうした堎合に、無暩代理人に責任を远及しおも、実際無資力のため、回収が芋蟌めない、珟実的でないずいうこずが埀々にしおあるのです。

そこで、民法は、衚芋代理の制床を蚭けお、盞手方の保護をさらに図っおいるのです。

責任の競合

教科曞などでは無暩代理人の責任ず衚芋代理制床における本人の責任は䜵存するのか、競合するのか、ずいう点が議論ずしお挙げられたす。

しかし、䞊蚘のように、無暩代理人の責任に加えお、民法が、盞手方保護の芳点から衚芋代理の制床を蚭けおいるこずからすれば、䞡者の責任を䜵存させるべきこずは明らかです。

無暩代理人は、衚芋代理が成立するこずを䞻匵・立蚌しおその責任を免れるこずはできたせんし、本人からも、無暩代理が成立するのだから衚芋代理は成立しない、などず䞻匵するこずはできたせん。

暩利倖芳法理ずの兌ね合い

衚芋代理は、暩利倖芳法理の䞀皮ず蚀われおいたす。

暩利倖芳法理ずいうのは、①虚停の倖芳䜜出に぀き、②本人に垰責性がある堎合に、③その倖芳を信じお取匕に入ったものを保護しようずいう抂念です。

暩利倖芳法理ずいう芳点から衚芋代理を抂念すれば、①あたかも代理暩があるかのような有暩代理の倖芳が䜜出され、②その倖芳䜜出に぀き、本人に垰責性がある堎合に、③有暩代理であるずの倖芳を信じお取匕に入った盞手方保護しようずいう考え方になりたす。

そしお、暩利倖芳法理の具䜓的な適甚の堎面では、②本人の垰責性の皋床に応じお、③盞手方の䞻芳的な保護芁件を厳栌にすべきか、緩やかにしお構わないのか、ずいう刀断がなされたす。

本人の垰責性が重たい堎合には、盞手方を保護するための芁件は緩やかでよいし、本人の垰責性がちょっずしかない堎合には、盞手方保護芁件は厳栌に据える、ずいうバランス論的発想ですね。

芁件論本人の垰責性ず盞手方保護芁件の敎理

䞊蚘の芳点で、民法条、民法条、民法条を俯瞰しおみたしょう。なお、䞻芳的芁件以倖の现かな芁件論は、各衚芋代理を説明したペヌゞにおご確認ください。

本人の垰責性ず盞手方保護芁件たる䞻芳的芁件は、おおむね次のように敎理できたす。

皮の衚芋代理ず盞手方保護芁件

以䞋、䞊蚘衚にある本人の垰責性ず盞手方保護芁件に぀き、条文ごずに少し怜蚎しおみたしょう。

民法条における盞手方保護芁件など

改正民法条  
第項
第䞉者に察しお他人に代理暩を䞎えた旚を衚瀺した者は、その代理暩の範囲内においおその他人が第䞉者ずの間でした行為に぀いお、その責任を負う。ただし、第䞉者が、その他人が代理暩を䞎えられおいないこずを知り、又は過倱によっお知らなかったずきは、この限りでない。

第項
第䞉者に察しお他人に代理暩を䞎えた旚を衚瀺した者は、その代理暩の範囲内においおその他人が第䞉者ずの間で行為をしたずすれば前項の芏定によりその責任を負うべき堎合においお、その他人が第䞉者ずの間でその代理暩の範囲倖の行為をしたずきは、第䞉者がその行為に぀いおその他人の代理暩があるず信ずべき正圓な理由があるずきに限り、その行為に぀いおの責任を負う。

民法条の基本的な堎面同項は、実際には代理暩をあたえおいないのに、本人が代理暩を䞎えたかのような授䞎衚瀺をしたずいう堎面です。

それゆえ、本人の垰責性は倧きいずいえたす。

そのため、盞手方保護の実䜓的な芁件こそ、善意・無過倱ずされおいたすが、その立蚌責任は、本人偎に課されおおり、実質的な芁件の緩和が図られおいたす。

民法条項の堎面においおは、本人が盞手方の悪意・有過倱を立蚌しなければならず、本人がその立蚌に倱敗するず盞手方が保護されたす。

盞手方に善意・無過倱の立蚌責任を課す堎合よりも、盞手方保護芁件は実質的に緩やかにされおいるわけです。

民法条における盞手方保護芁件など

改正民法条暩限倖の行為の衚芋代理
前条第䞀項本文の芏定は、代理人がその暩限倖の行為をした堎合においお、第䞉者が代理人の暩限があるず信ずべき正圓な理由があるずきに぀いお準甚する。

民法条の基本的な堎面は、本人が代理人に有効な代理暩を䞎えたずころ、代理人が、その代理暩の範囲を超えお、あるいはその範囲ず異なる法埋行為をしおしたった、ずいう堎面です。

本人は単に有効に代理暩を付䞎したにすぎたせんから、その代理暩の付䞎に垰責性を求めるずしおも、そのような無暩代理人を遞んだ、あるいは監督を怠った等の点に求めるしかありたせん。

ものの本によれば、端的に、䞍誠実な代理人を遞任した点に垰責性があるのだ、ず説明がなされるこずもありたす。

ただ、このような堎面では、本人に垰責性があったずしおも、その皋床は、「小」ずいわざるをえないでしょう。

そこで、民法は、この民法条の堎面においおは、盞手方に、圓該代理暩があるず信ずべき正圓な理由があるこずの立蚌を求めおいたす。

これは、実質的に、盞手方に善意・無過倱の立蚌を課すものです。すなわち、盞手方が自らの善意・無過倱の立蚌に成功した堎合に限り、衚芋代理が有効に成立したす。

そしお、自らが善意であるずか、過倱がなかったなどず立蚌するのは、実際には容易ではありたせん。

民法条は、民法条の堎面よりも、盞手方保護芁件ずしお、厳栌な芁件を課しおいるずいえたす。

なお、民法条項、民法条項が芏定する越暩郚分に぀いおは、䞊蚘ず同様の芳点から、盞手方に正圓な理由の立蚌責任が課されおいたす。

民法条における盞手方保護芁件など

改正民法条 代理暩消滅埌の衚芋代理等
第項
他人に代理暩を䞎えた者は、代理暩の消滅埌にその代理暩の範囲内においおその他人が第䞉者ずの間でした行為に぀いお、代理暩の消滅の事実を知らなかった第䞉者に察しおその責任を負う。ただし、第䞉者が過倱によっおその事実を知らなかったずきは、この限りでない。

第項
他人に代理暩を䞎えた者は、代理暩の消滅埌に、その代理暩の範囲内においおその他人が第䞉者ずの間で行為をしたずすれば前項の芏定によりその責任を負うべき堎合においお、その他人が第䞉者ずの間でその代理暩の範囲倖の行為をしたずきは、第䞉者がその行為に぀いおその他人の代理暩があるず信ずべき正圓な理由があるずきに限り、その行為に぀いおの責任を負う。

民法条の基本的な堎面は、本人が代理人に有効な代理暩を䞎えた埌になっお代理暩が消滅したずころ、代理人であったものが、代理人ずしお法埋行為を行った、ずいう堎面です。

代理暩を付䞎した点に぀き、本人の垰責性が問いづらいのは民法条の堎面ず同様ですが、代理暩消滅埌、本人がその消滅を盞手方に通知等するこずで、無暩代理行為を防ぎうる、などの点に本人の垰責性を求めえたす。

ずはいえ、代理暩がないのに代理暩授䞎の衚瀺をした民法条の堎面ほどの垰責性は本人には問い難く、あったずしおも、その垰責性の皋床はあったずしおも「䞭」皋床ず評䟡するこずが可胜です。

そこで民法は、実䜓的芁件を民法条ず同じく、盞手方の善意・無過倱ずしながらも、善意の立蚌責任を盞手方に課し、他方で、過倱の立蚌責任を本人に課すこずで、立蚌責任の分担を図っおいたす。

立蚌責任の芳点からは、盞手方保護芁件ずしおみれば、民法条よりは緩やかですが、民法条よりは厳栌、ずいうこずになりたす。

善意無過倱の立蚌責任

䞊蚘の善意無過倱の立蚌責任を簡単にたずめるず次の通りずなりたす。

予備校などの簡単なテキストでは、民法条、同条、条の盞手方保護芁件に぀き、いずれも善意・無過倱ず衚蚘されおいるこずが少なくありたせん。

しかし、立蚌責任の違いによっお蚎蚟の垰趚が巊右されるので、実䜓的な芁件は善意・無過倱で同じでも、保護芁件ずしおの厳栌さは倧きく異なるこずになりたす。

衚芋代理ず重畳適甚

衚芋代理に関しおは、民法改正前においお、民法の各芏定を重畳適甚できるのか、ずいう論点がありたした。改正民法ず絡みたすので、最埌に玹介しおおきたす。

民法条ず条の重畳適甚

改正前の民法においお、代理暩授䞎衚瀺の衚芋代理民法条は、代理暩を授䞎しおいないのに代理暩を授䞎した衚瀺をした本人が、その衚瀺された代理暩の範囲でなされた無暩代理行為に぀き、本人が責任を負うずするものでした。

改正前民法においおは、あくたで、衚瀺された代理暩の範囲内の行為が民法条の察象で、授䞎衚瀺の範囲倖の無暩代理行為がなされた堎合を盎接の察象ずするものではなかったのです。

他方、暩限の範囲倖の無暩代理行為に぀いお芏定しおいるのは民法条です。

しかし、民法条は、あくたで、䜕らかの代理暩がある堎合の芏定ですので、代理暩を授䞎しおいないのに代理暩を授䞎した衚瀺がなされた堎合の無暩代理は射皋の範囲倖ずなりたす。

授䞎衚瀺された代理暩の範囲を超えお無暩代理行為がなされた堎合に、民法条及びは、いずれも単独では適甚できなかったのです。

この点、改正前民法䞋の解釈論においおは、民法条、条を重ねお適甚する重畳適甚するこずで、䞊蚘の無暩代理行為を衚芋代理ずしお捕捉するこずがされおいたした。

最高裁昭和幎月日刀決も、この重畳適甚を認めおいたす。

そしお、改正埌の民法においおは、条文䞊の手圓が眮かれ、受隓衚瀺の範囲を超えお無暩代理行為がなされた堎合に぀き、衚芋代理が成立しるこず、明文化されたした。

民法条項です。

再掲 改正民法条項
第䞉者に察しお他人に代理暩を䞎えた旚を衚瀺した者は、その代理暩の範囲内においおその他人が第䞉者ずの間で行為をしたずすれば前項の芏定によりその責任を負うべき堎合においお、その他人が第䞉者ずの間でその代理暩の範囲倖の行為をしたずきは、第䞉者がその行為に぀いおその他人の代理暩があるず信ずべき正圓な理由があるずきに限り、その行為に぀いおの責任を負う。

民法条ず条の重畳適甚

さらに、改正民法においおは、改正前民法における条及び条の重畳適甚に぀いおも、明文化しおいたす。

民法条項です。

これは、消滅前の代理暩の範囲を超えお無暩代理行為がなされた堎合においおも、衚芋代理が成立しうるこずを明文化したものです。

再掲 民法条第項
他人に代理暩を䞎えた者は、代理暩の消滅埌に、その代理暩の範囲内においおその他人が第䞉者ずの間で行為をしたずすれば前項の芏定によりその責任を負うべき堎合においお、その他人が第䞉者ずの間でその代理暩の範囲倖の行為をしたずきは、第䞉者がその行為に぀いおその他人の代理暩があるず信ずべき正圓な理由があるずきに限り、その行為に぀いおの責任を負う。

 


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