「契約」と一口に言っても、その種類は様々です。
複数の視点からの分類を知ることで、その理解を深めることができます。そこで本記事では契約の分類法を確認します。
契約を分類する場合、一般的には、次の6つの視点による分類がなされます。
- 典型か非典型か
- 双務か片務か(当事者双方が債務を負うか・一方のみが追うか)
- 有償か無償か
- 継続的か一回的か
- 不要式か要式か
- 基本か個別か
① 典型か非典型か
まず、分類の仕方の一つとしては、「典型か非典型か」という分類の仕方があります。
典型契約
典型契約というのは、民法の債権各論に規定された各取引のことです。
社会で使われることが多いですが、典型か非典型かはあくまでも、民法の債権各論に位置付けられているか否かで判断をします。その意味で、講学的な分類の仕方です。
具体的には以下のような取引がこれに該当します。
- 財産移転型
贈与、売買、交換
- 貸借型
消費貸借、使用貸借契約、賃貸借契約
- 労務型
雇用、労働、委任、寄託
- その他の類型
組合、和解、定期金
非典型契約
非典型契約というのは、上記各取引以外のものを言います。
典型契約以外すべてが該当します。種類は無数に存在します。
リースやフランチャイズ、譲渡担保等にかかる契約がその代表例です。
法律に規定がないため、その内容をどうするか、条項などの作成に際して、特に吟味が必要です。
② 双務か片務か
また、契約の分類法としては、当事者がその取引の効果として互いに債務を負うか否か、という観点による分類もあります。
当事者が互いに債務を負担するものを双務契約と言い、一方当事者のみが債務を負担するものを片務契約といいます。
たとえば、売買は、売主は商品を引き渡す義務を負い、買主は代金を支払う義務を負います。双方が債務を負いますので、双務契約です。
反対に、単なる贈与は、一方当事者のみが相手に目的となる物を贈与をするものですので、一方当事者のみが債務を負う片務契約です。
民法が定める契約の一つに消費貸借(お金の貸し借りなど)という取引があります。
これは、目的物や現金などを交付した段階で成立します。契約の成立時点で貸主は既にお金等を渡していますので、成立後の時点では貸主は債務を負いません。
成立後に存在する債務は、借りたお金を返すという借主側の義務だけということになります。
そのため、民法が定める典型的な消費貸借は、借主のみが債務を負担する片務契約です。
③ 有償か無償か
また、当事者が、その効果として互いに経済的な出損をするか、という観点からの分類もあります。
有償契約とは
このうち有償契約というのは、当事者が互いに経済的出損をすることを要するものです。
たとえば、売買についてみると、売主は商品という財産を手放し、買主は代金を支払うこととなりますので、有償契約です。請負や雇用もこれに該当します。
ビジネス上の取引は、そのほとんどが有償契約で成り立ちます。
無償契約とは
反対に、一方当事者が経済的な出損を要しないものを、無償契約といいます。
贈与が典型例です(贈与を受けるものは経済的な出損がないですよね)。
無償の場合と有償の場合とを比較すると、無償の場合、義務者側の責任が軽減される傾向にあります。
たとえば、贈与においては、贈与者の責任は、売買における買主の責任に比して大幅に軽減されます。
双務と有償、又は、片務と無償は互いに類似します。ただ、片務であり有償でもあるという類型もあります。
上記に挙げたとおり、民法の典型的な消費貸借は片務契約です。
しかし、当該消費貸借の合意につき、借主が利息を付して貸主に利息を付して返還しなければならないという特約が付されている場合、貸主は貸金という元金を出損し、借主は返済に際して利息の支払いという経済的出損をします。
この取引では、両者ともに経済的な出損を要するのです。そのため、利息払いの特約付きの消費貸借は、片務であり、かつ、有償でもあるという片務有償型の契約類型に分類されます。
④継続的か一回的か
債務の継続性という観点からの分類もあります。
たとえば、不動産賃貸借においては、合意成立後、不動産を貸すという貸主側の債務が一定期間継続します。
このように一方当事者の債務が一定期間継続することを前提とするものを継続的契約と言います。
継続的契約の例としては、長期雇用契約、電力会社と締結する電気の供給契約や、NHKと契約する受信契約などがあげられます。
継続的契約の中には、当事者の信頼関係を基礎とするものが多く、当事者の一方が解除をする場合、その信頼関係が破壊されているといえることまで必要とされることがあります。
これに対して、売買など、当事者の債務の履行が1回限りで終了するものを一回的契約といいます。
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⑤不要式か要式か
方式による分類もあります。要式か不要式かという分類です。つまり、締結方式にルールがあるか否かという分類です。
不要式性 契約は口頭でも口約束でも成立する。
当事者間の意思の合致があれば、その成立が認められる取引のことを不要式契約と言います。
そして、民法は、「方式の自由」を原則としています。
そのため、契約は原則として不要式で成立します。口頭・口約束でも原則として成立するわけです。
その合意に際して何らの方式も要しないので、口頭のみならず、メールやLINEでもOKです。
書面によることも要しませんので、ここでは捺印・押印等の有無も関係がありません。
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特に口頭の合意だけで成立するものを表現して「諾成契約」ということがあります。
口約束だけで契約が成立する、という場合の契約はこれを指します。
詳しくは次の記事にて説明していますので是非参照してください。
要式性が要求されるものもある
他方で要式性が要求されるものもあります。これを要式契約と言います。
たとえば、合意の有効な成立のために書面を作成することを法律が要求している場合があります。
この場合、その方式が「書面」に限定されています。
このように、方式が法定されている契約のことを要式契約といいます。
民法上の例としては、連帯保証を挙げることができます。口約束では連帯保証契約は成立しません。
⑥基本か個別か
基本か個別か、という観点からの分類もあります。
継続的取引関係にある他者との間において、しばしば締結されるのが「基本契約」と呼ばれるものです。
これは、各個別の案件に共通する基本的な取引条件を定めた合意のことをいいます。
たとえば、売買基本契約書や請負基本契約書等が例として挙げられます。
これに対して、個別(スポット)契約というのは、基本契約の存在を前提に、個々に締結される合意のことをいいます。
基本契約において、取引日時・単価・数量など、個々の場面場面で必要となる要素以外を決めておき、その基本契約を前提に、個々の取引について定めるのが、個別契約です。