今回、契約の定義について解説します。
民法における契約は講学上の概念である。
民法における契約は、各条文・規定から導出する講学上の概念です。
民法に「契約」そのものの定義はない
「契約」という言葉で真っ先に思い浮かぶ法律はなんでしょうか、そう「民法」ですね。
民法は、法律学習者がその概念を学ぶとき、もっとも基本の法律となります。
しかし、民法上、「定義」は規定されていません。
最近の法律では、第2条に定義規定が設けられることが多いですが、民法にはこうした定義規程はなく、また、「第三編」第2章に「契約」という章が設けられているものの、やはり定義規定は置かれていません。
そのため、その定義は、法律の規定などから要素を抽出して導き出していくことになります。
契約に含まれる要素
「契約」には、次の要素が含まれます。
契約というのは、「お互いに納得した決め事であって、当事者の権利・義務を発生・変動させるもの」
ポイントは二つです。
①お互いが納得して(自分の意思に基づいて)いる、という点。
②当事者の権利・義務を発生、変動させるものであるという点。
契約の定義を考えるときはこの2つの視点が重要です。
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当事者間において、どのような合意をするかは原則的には当事者の自由です。この原則のことを契約自由の原則といいます。
契約自由の原則につき、新民法の関連条文やその意義、種類について解説しています。
法律(民法)にいう定義
もう少し法律的に定義をしてみましょう。
一般的に、契約とは「当事者間の相対立する意思表示が合致することにより成立する法律行為」をいう、と定義されます。
売買の他、賃貸借、雇用、請負などが具体例です。
申込みと承諾の合致が必要
この法律上の定義に言う「当事者間の相対立する意思表示が合致する」というのは、『契約の「申込」とこれに対する「承諾」が合致する』という意味です。
売買に即していえば、買主の「買いたい」という申込と、これに対して「よし売った」という売主の承諾とが合致していることをいいます。
この「申し込みと承諾の一致」という項目が、左記に述べた「①お互いが納得して(自分の意思に基づいて)いる、という要素をカバーします
参照 関連外部リンク 申込と承諾の合致による契約の成立(北九州の弁護士ならひびき法律事務所)
法律行為であること
また、法律行為というのは、「当事者間の権利義務関係を発生・変動させる行為」を指します。
ここでは、契約であるといえるためには、法律行為でなければならず、そして、法律行為といえるためには、当事者間の権利・義務を発生させたり、変動させるものでなければならない、というロジックによって契約が定義されます。
先に、契約に含まれる要素として、「当事者の権利・義務を発生、変動させる」という要素を上げましたが、この要素は、契約を「法律行為」として位置付けることでカバーされるわけです。
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権利・義務関係を発生・変動させるか否かは、「契約」と「約束」を区別するメルクマールにもなります。
契約と約束の違いについては次の記事にて紹介していますのでご参照ください
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契約の具体例
理解を深めるために、いくつかの取引を例にあげて、法律的な定義の意味付けを確認してみましょう。
申込みと承諾の有無・権利義務の発生の有無がチェックポイントです。
3つの典型的な契約の例
売買についてはすでに挙げているので、以下、賃貸借、請負、雇用について見ていきます。
賃貸借
まず賃貸借についてです。
賃貸借は、たとえば「車を12時間1万円で貸してほしい」という借り手側の申込と、これに応じるという内容の貸主側の承諾の意思表示の合致によって成立します。
法的効果としては、貸主は、目的物を借主に貸す義務を負い、借主は、賃料を支払う義務と決められた時期に目的物を返還する義務を負うことになります。
請負
次に請負についてです。
請負は、発注者の「仕事をお願いしたい」という申込とこれに対する請負人側の承諾によって成立します。
法的効果としては、発注者は、請負人に対して、請負代金を支払義務を負う一方、請負人は仕事を完成させる義務を負わせるものです。
雇用
雇用についてです。
雇用は、たとえば、時給1000円で働きたいという労働者側の申し込みと、これに対する承諾(「時給1000円で雇う」)によって成立します。
法的効果としては、労働者は労働を提供する義務を負い、雇用主は、労働に対する給与を労働者に支払義務を負うという内容になります。
小括
売買の他、賃貸借や請負、雇用といった各種の取引を定義に即して確認してみると、どうでしょうか。
相対立する当事者間の「申込」と「承諾」の意思表示によって、権利義務関係が発生・変動していることが共通点として掴めると思います。
これを法律の用語で表現したものが、上記の定義、すなわち「当事者間の相対立する意思表示が合致することにより成立する法律行為」ということになります。