民法21条
民法21条
制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない。
- 4コマ解説

【解説】
この条文は、一言でいうと「未成年者や認知症などで判断力が不十分な人(制限行為能力者)であっても、相手をだまして『自分は大人だ』『問題なく契約できる』と信じ込ませたなら、後から『やっぱりナシで!』と契約を取り消すことは許さない」というルールです。
法律用語を噛み砕きながら、なぜこのルールがあるのかを分かりやすく解説しますね。
登場人物の整理
- 制限行為能力者(せいげんこういのうりょくしゃ):
未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人のことです。
判断力が未熟だったり不十分だったりするため、本来なら「1人で結んだ契約を、後からノーペナルティで取り消せる」という強力な保護を法律から受けています。 - 詐術(さじゅつ): 相手をだますための「ずるい手段やトリック」のことです。
なぜこのルールがあるの?(法の狙い)
法律は基本的に、未成年者などの「判断力が弱い人」を騙されないように保護しています。
しかし、保護されている側が自ら積極的に嘘をついて、わざと相手を騙しにいった場合まで守る必要はありませんよね。むしろ、騙されて契約させられた「何も悪くない相手(取引の相手方)」の方がかわいそうです。
そのため、この21条によって「ずるい嘘をついたなら、もう法律はあなたを守りません。大人の発言として、契約の責任をちゃんと取りなさい」と、ペナルティを与えているのです。
どんなときが「詐術(だました)」になる?
実は、単に「私は大人です」と口頭で嘘をついた、あるいは「年齢を確認されなかったから黙っていた」というだけでは、この21条の「詐術」には当たらない(=まだ契約を取り消せる)とされることが多いです。
裁判などで「これは完全に詐術(だました)だ」と認められるのは、以下のような積極的な裏工作をした場合です。
- 偽造された身分証を見せた:
年齢を偽るために、他人の免許証や偽造したマイナンバーカードを提示した。 - 同意書を偽造した:
未成年者が、親のサインや印鑑を勝手に偽造して「親の同意書」として提出した。 - 嘘のストーリーを仕込んだ:
単に年齢を偽るだけでなく、相手の疑いを晴らすために「すでに独立して生計を立てている」といった計画的な嘘をついて信じ込ませた。
このように、相手が「これなら契約しても大丈夫だ」と信じてしまうのも無理はない、と言えるレベルの騙しを入れた場合に、この21条が発動します。
まとめ
💡 民法21条の本質 「守られるべき立場(未成年など)であっても、積極的に相手を騙して契約を勝ち取ったのなら、その契約は確定。後から『やっぱり未成年だから取り消します』という言い訳は通用しない」という、取引の公平性を守るためのルールです。