インターネットなどを見ていると、「準備書面の書き方」をホームページで検索される方が少なくないようです。
準備書面というのは、裁判で、自己の言い分を記載した書面の事です。法廷で言いたいことを事前に準備して提出しておく、その文書が準備書面です。
以下、形式面を中心に、当ブログにて、書き方を御紹介させていただきます。ご参考としていただければ幸いです。
準備書面の書式・体裁
準備書面の書式について、日本弁護士連合会が書式を提示していますので、まずはそちらをご確認ください。
なお、この書式は、代理人向け(弁護士向け)に作成されたものです。
本人が作成する場合には、「原告代理人弁護士 甲野 太郎 印」のところを、ここを単に「原告 ○○ ○○ 印」とか「被告 ○○ ○○印」などと記載することになります(後述の書式・テンプレート参照)
書式レイアウト
見るべきはまず、レイアウト。1行あたり37文字、1ページ当たり26行で設定されています。
これは必ず守らなければならないものではありませんが、1行あたりの文字数があまりに長かったり、行数が余りに多かったりしても読みにくいですよね。
日本弁護士連合会の書式レイアウト、1行あたり37文字、1ページ当たり26行は、一つ参考になる設定かと思います。
文字の大きさ、フォント
文字の大きさもフォントも、法律上、特段の決まりはありません。
ただ、日本弁護士連合会の書式では、タイトル部分の文字の大きさが「16」、その他の文字の大きさが「12」で設定されています。
特に、文字の大きさ「12」に設定するのは、Word既定の「10.5」が小さすぎて読みにくい(Faxでつぶれてしまう等もある)のが理由だと思います。
眼の良い裁判官もいれば、老眼の裁判官もいるはずですので、どの裁判官にも読んでもらいやすい大きさにしておくことが望ましいです。
ちなみにフォントは、「MS明朝」を使うのが一般的とされます。日本弁護士連合会の書式でも同様に「MS明朝」が使用されています。
準備書面に記載すべき形式的事項
続いて、準備書面に記載すべき形式的事項についてです。ここも日本弁護士連合会の準備書面を参考にしてください。
次のような事項が形式的な記載事項になります。
事件名の表示
冒頭に事件の名前を記載します。
記載例:令和○年○月○日(ワ)保証債務請求事件 等
直送済の表示
これは、必須ではありませんが、準備書面を裁判所に提出するときは、裁判の相手方にも、同じものを送付するのが一般的です。
この点は、分かりにくければ、裁判所の書記官に聞いてみましょう。
裁判所に正本と副本を送ってくれればそれでいい(要は、裁判所に裁判所用と相手用の2通を送れば、相手方には裁判所から送ってくれる)という場合もあります。
当事者の表示
事件名の直下に当事者を表示します。第一審では、裁判をおこした側が原告、裁判を起こされた側が被告です。記載例は次の通り。
原告 ○○ ○○
被告 ○○ ○○
なお、たとえば被告が二人いるような場合には、次のように書きます。全員の氏名を列挙する必要はありません。
原告 ○○ ○○
被告 ○○ ○○外1名
準備書面であることの明示
また、準備書面には、「第1準備書面」などと記載して、準備書面であることを明示します。
第1準備書面は、最初に出す準備書面です。第2準備書面は、その次に出す準備書面です。
以下、第3、第4・・・と続いていきます。
なお、第1準備書面などの記載方法の他、準備書面(1)などと記載する方法もあります。
原告側が第○準備書面という書き方をし、被告側が準備書面(○)と記載するのが一般的ですが、正直どちらでもよいとは思います。
法的効果は変わりませんし、裁判の有利不利とも当然無関係です。
裁判所の表示
提出先の裁判所を記載しましょう。
裁判所によっては民事訴訟について複数の部署・係がありますので、そこまで記載するのが丁寧です。
記載例:○○地方裁判所民事第○部○係 御中
作成者の名前と印鑑
第1審において、本人が準備書面を出す場合、たとえば次のようになります。
記載例:「原告○○ ○○ 印」又は「被告 ○○ ○○ 印」
書式・テンプレート/フォーマット
以上の点を前提に、原告側準備書面と被告側準備書面の書式を準備しましたのでご参考にしてください。
内容面
内容面については、見出しと本文で、主張したい言い分を記載します。
内容についての一般論は、大阪地方裁判所のホームページ「準備書面の書き方」の案内文書が参考になります。
骨子としては、反論に関して、相手の主張のどこを認めてどこを争うのか等を明確にすべきこと等が説明されています。
一度ご参考にされてみてください。